工務店の営業が「ハウスメーカーに行って聞いてみた」

工務店で10年ほど営業をしている人間が、他のハウスメーカーに行って聞いてきました。

@住友不動産 西新井

*注 最近展示場を建て替えたらしく、少し古い情報です。

【営業担当】

・説明のわかりやすさ ☆☆☆

・専門力 ☆☆☆☆

・資格やキャリア ☆☆☆ 

【商品力】

・コストパフォーマンス ☆☆☆☆

・オジリナリティ ☆☆☆

・平均的な販売価格の低さ ☆☆

住友不動産への一般的な印象は「分譲マンションの会社でしょ?」とか、ちょっと詳しい人でも「新築そっくりさんで有名なリフォーム会社でしょ?」くらいの認識ではなかろうか。

実は戸建て住宅もちょいちょいやっていて、街中でそれらしい外観(というか窓回り)の戸建てを見ると「あー、、これ、Jアーバンか。。」とわかるくらいの特徴はあったりする。

業界情報だと年間建築棟数2,000~3,000棟くらいなので、上位陣(年間9,000~12,000棟クラス)と比較するとやや小ぶりではあるが、一般的なビルダーから見ると十分な大手。

なにより「大いに手掛けている分譲マンションと同じ設備を入れられるため、コストパフォーマンスは高い」という内容は魅力に感じる。

 

◇営業の印象

30代、男性。外見はまあまあ。悪くはないけれど良くもない。及第点。

しかし驚かされるのが「住友不動産の営業はおおむね建築士免許を持っている」ということ。一級、二級は問わずともそれだけの保持率は住友林業以上ではないか。

またトーク自体もよく練られていてスタンドトークは流暢。2×4住宅が阪神大震災をはじめ大型地震にて全く被害がなかった、という説明はわかりやすかった。(ただし阪神大震災が起こった当初、2×4工法はまだまだシェアが少なかったり新築が多かったりと、古くからある木造軸組工法と単純比較するのはちょっとミスリードっぽいけど)

また「テレビCMを行っていないので、広告費が限りなく低い。そのためグレードの高いキッチンやお風呂も標準仕様にできるのです」という内容にも納得。CMでやたらと見かける住友さんて「住友林業」の方か、と改めて気づく。 

 

◇住宅について

会社の上司から「住友不動産は見栄えはすごいから、内装は勉強になるぞ」「内装だけはね。。」と聞いており、つまり「住宅自体の性能は低いのかな。。」という印象を持って来場した。

特に2×4工法については工法そのものに賛否があり(積水ハウスあたりは、2×4大っ嫌いね。)それは主に上棟時の雨の問題や壁内結露問題を指すことが多い。

そして今の住友不動産自体も、その問題を解決できた情報が得られなかったことは気になったまま終わってしまった。住友不動産の上棟もおおむね1週間以上はかかるらしく

ブログ記事一覧|J-URBANによる建築日誌

 ↑こちらの方のブログを参照しました。

「8日に1回は雨が降る」と言われる日本の気候において、上棟時に雨のダメージを負ってしまうことはやむを得ないだろう。しかも壁を一度に立ち上げてしまうのでこもった湿気が抜けることなく、どんどんと工程が進んでしまうことが多い。

これについて監督または営業なんかが丁寧に乾かしてあげたら顧客感情もまあまあ納得するんだろうけど、現実的にそんな時間もヒマもないし「まあ石膏ボード張って隠れちゃったらわかんないよね!」みたいなことになるのだろうか。あるいは「耐水合板使ってるから大丈夫ですよ!」と説明をするのだろうか。だけど住宅に一度こもった水分は、なかなか乾かないんだよね。。*確か近畿大学岩前教授←うろ覚え

これらのことが木造軸組工法を主体としている建築会社からの批判の多くではあります。

*下はちょっと昔の画像。そもそも両面アルミサッシの時代だし。でも「さすがに大丈夫かな?」とは思う。

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半面、「内装には非常に力を入れている」というのはあながち間違いではなく、標準仕様でヤマハのドルチェキッチンがついてきたり、オプションとはいえ光沢のタイルがフローリングに敷き詰められていたり、壁という壁にエコカラットが貼り付けられていたりと本当にゴージャス。

これは我々のような工務店とはちょっと比較にならないデザイン力があると感じさせられる。

 

◇まとめ

*個人的な意見です。

前述のダイワハウスもそうだけど、大手ブランドというのは強い。生涯購入頻度の低い住宅だからこそ、ブランド力はますます強くはたらきがち。そこには「安心と安全はタダで享受されるべきだ」という妄想が横たわっているからかもしれない。

その中で鉄骨住宅と比べた木造住宅の優位性を上手に確認できてなおかつ、分譲マンションへのあこがれを捨てきれない顧客がきっと住友不動産を選ぶのだと思うし、そんな顧客に対して明確に共有されたセーリングポイントには感心させられる。

とはいえ内装の素晴らしさは限界効用逓減の法則を持ち出すまでもなくいずれ飽きてくるものだし、また時代が過ぎるにしたがって陳腐化していくもの。(きっといつか「あの家って、平成くさい家だよね」なんて言われる時代がくるかもね)

その矛盾とどう向き合うのか、そして内装の素晴らしさとトレードオフで失うものはなにか。

住友不動産を候補に入れる人は、この辺りを客観的に考えてみるといいかも。けっこう、失っているかもしれませんぜ。

 

ということで、皆様よい家づくりを!